ビオトープの外来種図鑑①:『コイ(大陸型・ヤマトゴイ)』

ビオトープの外来種図鑑①:『コイ(大陸型・ヤマトゴイ)』

ビオトープに巣食う外来種を紹介します!

ビオトープの外来種図鑑、記念すべき第一弾は『コイ』です!

和名:コイ
学名:Cyprinus carpio
分類:コイ目・コイ科・コイ属
体長:〜120センチメートル
食性:雑食(魚類、甲殻類、両生類、貝類、虫類、水草、泥など、なんでも食べる)
分布:日本各地の淡水域

今、きっと「コイって外来種なの?」と思ったと思います。
そうです、本来ならば、コイは日本のれっきとした在来種なはずです。
しかし、今回ここで紹介するのは「飼育型・養殖型・大陸型」などと呼ばれるコイです。
実は近年、コイには大きく2種類がいることが判明されました!
一つは昔から日本にいる在来種のコイ(マゴイ、ノゴイと呼ばれる)。
二つ目は中国原産の食用や観賞、水田の水草除去の目的で輸入された外来種のコイ(ヤマトゴイと呼ばれる)。
皆さんは全て知っていましたか?
ここで一つ皆さんに残念なお知らせがあります。
皆さんが思い浮かべる綺麗な錦鯉、地元の川で見かけるとテンションが上がる大きな黒いコイ、これらは全て外来種のコイ(以下ヤマトゴイと呼ぶ)なんです!
昔から日本に生息しているコイ(以下マゴイと呼ぶ)は既にヤマトゴイとの生存競争に敗れ、今では琵琶湖の水深20メートル以下の深場や四万十川くらいでしか、生存が確認されていません(個体判別が困難なため、必ずしも正確ではない)。
マゴイとヤマトゴイの違いは大きく二つ、体の大きさと体高です。マゴイはどんなに大きくても90センチくらいにしかならず、対してヤマトゴイは最大で120センチにもなります。
また、マゴイはシルエットが細長く、対してヤマトゴイは体高がマゴイより高めで、ずんぐりむっくりとしたシルエットです。

なぜ、最近までこの『実はコイは外来種』という情報が広まらなかったというと、そもそも、コイがマゴイとヤマトゴイの2種類がいるということ自体、遺伝子調査の技術が向上したここ最近に分かったことだからです。
時は2004年、コイヘルペスというコイにだけ感染するとても致死性が高い病気が流行り、琵琶湖で10万匹近い野生のコイが死滅しました。そして打ち上げられたコイのDNAを調べてみると、今まで一種類だと思っていたコイが2タイプに分かれることが判明し、その大半が外来種であることがわかったのです。
今も正しい知識を知らない自治体や水田所持者が水質浄化や水草の除去を謳ってヤマトゴイを放流しており、競合によるマゴイの絶滅が懸念されます。

ヤマトゴイにはある凶悪な特性があります。
それが胃がないということです。
これは『無胃魚』と言って消化器官として胃をもたず、食べたものをそのまま腸で吸収する魚なのです。
これにはコイ以外にもフナが含まれます。
無胃魚には『お腹がいっぱい』という状態がありません。
目につくものはなんだって襲うし、口に入ればなんでも飲み込みます。
排泄はところてん方式で、食べたら食べた分だけ、排泄します。
無胃魚の中でもヤマトゴイは格別に大型かつ食欲旺盛で悪食です。
喉の奥に『咽頭歯』という日本の十円玉をへの字に曲げるほど強い歯をもち、硬い貝類や甲殻類を容易に噛み砕きます。

今、我々科学部の中で、コイはブラックバスよりも生態系への悪影響が大きいのではと考えられています。
その理由は、コイが最も好む食べ物にあります。それはズバリ、魚卵です。
ヤマトゴイはその巨体で、他のコイ科の魚(モロコなど)の巣を襲い、産み付けられていた卵を根こそぎ吸い込んで、食べてしまいます。
卵や稚魚の減少は生物の個体数への影響が大きいため、コイのこの食性は本当に憎たらしいです。
学校の近くの川でも、コイの個体数が増え、在来種の小魚は肩身の狭い思いをしています。

最初の方で、コイが水質浄化のために放流されていると言いましたが、コイそのものに水質を良くする能力はないどころか、水草を根こそぎ食べ尽くし、水を悪くします。さらに、コイという生き物は比較的汚い水質を好むため、コイを水質浄化のイメージにすること自体、ミスマッチと言えます。
コイを放流した池は数年でコイ以外の生き物をほとんど見なくなります。
アメリカではミシシッピ川に水質浄化を期待してコイが放流され、その結果、数多くの固有種が姿を消しました。
アメリカ政府はコイが五大湖に広がらないよう、ミシシッピ川に40億円かけて、水中電気柵を建設しましたが、残念ながら、電気柵が完成した1年前には、五大湖にコイは広がっており、今もなお、多くの固有種がコイの餌食となっています。

駆除されたコイの写真

地元の川で釣り上げられたヤマトゴイ。
サイズは73センチメートルでした。
そこらのナマズやブラックバスよりよっぽど引きが強く、竿が折れるかと思いました。
餌は『北海道チーズ蒸しケーキ』を使いました。
これが本当にいい釣り餌で、基本はこれだけでほとんどの川魚を釣ることができます。
フナ、オイカワ、タナゴなど、雑食の魚にはよく刺さります。
また、練れば餌持ちが良くなり、タナゴ仕かけの小さな針でも驚異的な餌持ちを披露してくれます。

コイの写真

これぞまさにまな板の上の鯉!

まな板三つを並べても収まり切らないサイズ感!
ぬめりや内臓が非常に臭いので、捌くときは外で捌きましょう…
親に怒られます…

コイで唐揚げを作りました!

駆除したコイを唐揚げにしたのですが、これが本当に美味しかったです。
醤油や生姜、ニンニクに漬けて、匂いを消してやれば。びっくりするほど匂いが消えます。
また、コイは鋭く太い骨が沢山あるので、気をつけて食べましょう。
二度上げするといいかもしれません。

コイは元々、日本では古くから食用として親しまれてきました。
『鯉こく』という味噌煮込みや、『鯉の洗い』という刺身が代表例です。
野生のコイには多くの寄生虫が生息している危険性があるため、生食するのはやめましょう。
また、野生下のコイは赤っぽい身で、生簀で養殖したコイは白身です。
今でも、長野県や京都府のような内陸部で、コイを食べる文化が残っています。
いつか、大量のコイを駆除して、屋台で『京風コイから』としてコイ唐揚げを売るのが夢です。

いろんな調味料で食べ比べ!

この時、我々はコイに合う調味料を探し、様々なバリエーションで食べ比べをしました。
塩やタルタルソースがおすすめです。

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