『2023 北木島大遠征!』活動レポート第1弾  《牡蠣筏編》

  『2023 北木島大遠征!』活動レポート第1弾  《牡蠣筏編》

2023 北木島大遠征!

皆さんこんにちは!
サイエンス・オブ・エンパイア団長の猪原です。
我々はうみぽす甲子園2023にてグランプリを受賞した際、追加活動資金の10万円をいただきました。
この活動資金は予告通り、定置網の実施に使いました。
しかし、ただの定置網イベントでは終わりません。
題して、『2023 北木島大遠征!』。
北木島は白石島と同じく、瀬戸内海にある島で、岡山県の笠岡諸島に属しています。
北木島といえば、あの有名なお笑い芸人、『千鳥ダイゴ』の実家がある場所として知られています。
定置網の見学はもちろん、広島県の特産品である牡蠣筏(カキイカダ)の見学に加え、文化遺産の北木島の石切場、復興した映画館など、様々な場所を見してきました!
今回はその体験レポート第一弾ということで、牡蠣筏編です。
お楽しみください!

ファイル:①牡蠣の生産高について

皆さんは牡蠣筏(カキイカダ)をご存じですか?
その名の通り、牡蠣を養殖するために使う大きな筏のことです。
そして、瀬戸内海(特に広島県と岡山県)は牡蠣の養殖生産が非常に有名なことで知られています。
日本の牡蠣の生産割合は以下の通りです。

  全国計 161,646 (t) 100%
1位 広島 99,144 (t) 61.3% 呉市、江田島市、広島市
2位 宮城 21,406 (t) 13.2% 石巻市、南三陸町、気仙沼市
3位 岡山 12,166 (t) 7.5% 浅口市、笠岡市
(2019年調べ)

この通り、なんと1位と3位がどちらも瀬戸内海に属しています。
今回は、なぜこんなにも瀬戸内海で牡蠣がたくさん作られているのか、牡蠣筏とはどんな物なのかを、徹底的にご紹介します!

ファイル:②牡蠣の楽園!瀬戸内海!

なぜこんなにも瀬戸内海で牡蠣が養殖されているかというと、それには主に4つの原因があります。

理由1:穏やかな地形・風波・潮流
瀬戸内海は日本で最も大きな内海で、中国地方、四国地方、近畿地方、九州地方に挟まれています。
さらに、この内海には名前の無い小さな島や、人工島を全て含めて合計7161にも及ぶ島岩礁が点在しています。
そのため、波が静か且つ、適度に潮の流れがあり、牡蠣の生育に良い条件が揃っています。
また養殖筏が安全に設置できるのも牡蠣養殖に拍車をかけています。

理由2:牡蠣の生理機能に適した水温変化
かきの生理は水温に影響されます。
例えば夏の水温上昇が産卵に刺激を与え、秋の水温低下がグリコーゲンの蓄積(牡蠣の身入り)をすすめます。
水温変化もかき養殖にとって大切な条件の一つなのです。

理由3:牡蠣の養殖に適した程よい塩分濃度
流れ込む河川水の影響で瀬戸内海、特に広島湾では梅雨時期から夏にかけて、海水中に塩分濃度の差による層ができます。
これは「甘い水(=少し薄い海水)」を好むかきに有利な条件となります。

理由4:牡蠣の養殖に適した豊富なプランクトン
牡蠣の大好物は植物プランクトンです。
その為、プランクトンの増殖が、牡蠣養殖の1つの鍵になります。
多くの一級河川が流れる瀬戸内海は、こういったプランクトンの宝庫であり、牡蠣養殖にマッチしています。

どうでしたか?
こう聞くと、瀬戸内海で牡蠣が盛んに養殖されている理由にも納得ですね!
皆さんもぜひ、瀬戸内海に来た際は牡蠣を食べてみてください。

ファイル:③牡蠣筏について

牡蠣筏は海の上に浮かぶ大きな筏で、筏の下には大量の牡蠣がびっしりと付いた、数メートルの長いロープが張り巡らされています。
このロープは牡蠣の重みによって、一本だけでも数十キロに及びます。
牡蠣の養殖は最初、牡蠣の稚貝が付いたホタテの殻を括り付けるところから始まります。
牡蠣筏はその特性上、多くの海洋ごみを排出します。
浮きやロープなど、かつては多くの部品がプラスティック製だったのですが、今回見学させてもらった『勇和水産』さんのブランド牡蠣『喜多嬉かき』の牡蠣筏は、海洋ごみ問題を意識し、その部品の多くを竹などに置き換えていました。
しかし、勇和水産の社長さんは「それでもまだ海を汚してしまう。これで満足してはいけない。」と熱く語り、
今後の牡蠣養殖を海中養殖から、陸上養殖にシフトしていくと宣言していました。

下写真は今回我々が見学した、『勇和水産』さんの手がけるブランド牡蠣『喜多嬉かき』の牡蠣筏です。

ファイル④:牡蠣の収穫工程

養殖場で実った牡蠣は、船に設置されたクレーンでロープごと引き上げられ、そのまま木箱に入れられて収穫されます。
収穫した牡蠣は後ほどロープから切り離し、加工されていきます。

最初に、クレーンに牡蠣が付いたロープを括り付けます。

次にクレーンを少しずつ上げていきます。

最後まで引き上げた後、木箱までそれを移動させます。
ロープは6メートルほどあります。

木箱に牡蠣をロープごと入れて収穫は完了です。

ファイル⑤:牡蠣筏に揺られ…

今回、我々は牡蠣筏に実際に乗ってみました!
瀬戸内海の穏やかな波に揺られ、落ちないように気をつけながら海中の牡蠣を観察しました。
ロープは手で引き上げることができ、牡蠣殻で手を切らないよう注意しながら観察しました。
ロープには『ワレカラ』などの甲殻類が付着しており、豊かな生態系『里海』の礎になっていました。

下写真 左部長 右副部長

海に落ちないよう、注意して進む部員たち。

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