活動報告 第4弾

今回、久米島の赤土問題に長年取り組まれている「NPO法人久米島ホタルの会の佐藤直美さん」と「久米島町議会議員の新垣幸子さん」に話を伺いました。

久米島の赤土問題 ~長年の取り組みと今私たちにできること~

佐藤さんは私たちが生まれるずっと前の25年以上前から、赤土流出防止のための活動を続けてこられた方です。
島の自然を守るために、地道な努力を重ねてきたその姿には、深い敬意を感じました。
赤土問題は、単に「土が流れる」という現象ではなく、海や川を汚すだけでなく、そこに生息する生き物の命も奪ってしまう大きな問題なのです。
この問題は、うみぽす甲子園2023で発表した先輩方も取り上げられていましたが、改めて強調したいのは、赤土によって生き物たちが命を落としているという事実です。
そしてその影響が巡り巡って私たち自身に返ってくる非常に深刻な環境問題なのです。

赤土が奪う命 ~クメジマボタルとサンゴの悲劇~

赤土の影響で久米島に生息する天然記念物「クメジマボタル」や、島の海の観光資源にもなっている「サンゴ」が、赤土の粒子を呼吸器に吸い込んでしまい、窒息死することもあるそうです。
インタビューでは、久米島の象徴とも言えるホタルやサンゴだけでなく、それらを取り巻く様々な生き物たちが「被害者」となっている現状を、もっと多くの人に知ってもらいたいという強い思いが語られていました。
そして、この島固有の生物を失っていく事は、地球温暖化につながる生態系サービスの基盤である食物連鎖を崩壊させる原因となっていることに、気づいてほしいとインタビューで語られていました。

赤土に含まれる化学物質 ~自分自身に返ってくる!?~

赤土には、除草剤などの化学物質が含まれていることもあります。
これらは、ただ土が海に流れるだけではなく、成分が川を通って海へとたどり着き、海洋生物に悪影響を与えるだけでなく、食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼす可能性があります。
赤土問題は単なる「環境問題」だけでなく、私たち自身の健康や暮らしにも関わる問題で、地球温暖化にも繋がる大きな問題なのです。

歴史ある対策 ~板戸とベチバー~

赤土流出問題に対して久米島町では長年にわたり様々な対策が取られてきました。
その中でも特筆すべきは、大田治雄前町長が町職員時代に考案した「板戸」という方法です。
これは、赤土の流出をその日で止めることができる画期的な対策で、現在では沖縄県内でも広く使われていますが、
実はこの板戸、久米島町が県内で初めて導入した方法であり、その効果が認められたことで他地域にも広まったという歴史があります。
しかし板戸は材料の板を別の用途に転用してしまう方もいるため、維持が難しくなるという問題もあり、本来の目的を理解してもらい、原点としての利用方法を広めていくことも、重要な視点です。
現在、私たちが研究・普及を進めているベチバーを使ったグリーンベルト対策も、赤土流出を防ぐ有効な手段のひとつですが、植物の成長を待つ必要があるため、板戸と比較すると即効性には欠けるという課題があります。
そのため、ベチバーと板戸を併用することがベストな状態で、板戸とベチバーにはそれぞれにメリットとデメリットがあり、どちらの対策方法もトレードオフの関係にあるため、どちらか一方ではなく、状況に応じて使い分ける柔軟な対策が求められていると感じました。

沖縄県の条例と現場の現実

沖縄県では「沖縄県赤土等流出防止条例」という条例があり、1,000平方メートル以上の土地での開発行為には流出防止施設の設置が義務付けられています。
そこで現在では、赤土流出を90%止められる方法として、工事現場等では赤土の上に枯草やブルーシート等を敷くマルチングという方法で土が雨に直接打たれることを防ぐ方法が、赤土流出防止の1つとして行われ、対策のための費用も法人に対しては、助成金制度が設けられています。

農地での赤土対策 ~「お願いレベル」の現実と農家のジレンマ~

赤土流出防止に関する条例や対策費用は、開発工事に対しては整備されていますが、農地における対策については費用や作業の負担が大きく、農家だけでの対応は難しいのが現状です。
しかし、県全体の赤土等流出量のうち81%が農地からとなっているため、県では、赤土等流出防止活動を支援し、赤土等流出防止対策の推進を図るために、補助金を法人や民間団体が活用できるように取り組んでいますが、こうした制度を全ての農家が活用できるわけではないため、農家の方々は「自分たちで対策してください」という、お願いレベルにとどまっているということがわかりました。
本来、農地を開墾し、作物を栽培する場合、その活動が環境に悪影響を及ぼさないようにすること(土壌、水質、大気汚染を起こさないこと)が大前提です。
農地が広い場合や、小規模でも数が多い場合、また河川や海に近い農地や優れた自然環境に隣接する農地であったり、栽培目的を優先するあまり、赤土をむき出しにしたり、収入を確保するために畑面積をギリギリまで使う事で、赤土が流れ出てしまう様な農法を繰り返していると、環境への悪影響が年々大きくなっていきます。しかし、農家の中には、収穫量が少ない人や高齢化で苦労をしている人もいるため、暮らしに余裕が無く、環境対策への意識や配慮が育ちにくい現実があります。
そのため現行の法律でも、面積が1,000㎡を超えない場合は、義務化されていません。
それでも、規模に関わらず赤土を流さない工夫(対策)が必要で、農業をする人は少なからず環境へ影響を与えているという事を理解する必要があります。対策は他人任せではなく、「SDGs12作る責任つかう責任」にもあるように、使っている人にも使う責任があるのです。

※道路に農産物がはみ出している畑の例

私たちが普及を進めているベチバーは、畑のギリギリの範囲に植えてもらうことで効果を発揮しますが、イネ科のため除草剤を撒くと枯れてしまうため、農家の方々の理解と協力が必要です。
そこで行政や団体による活動と私たちのうみぽす甲子園での活動を通じて、1人でも多くの人に赤土問題の深刻さを知ってもらいたいと強く感じています。
久米島の美しい自然と、そこに生きる生き物たちを守るために、今こそ私たち一人ひとりができることを考え、行動に移す時だとインタビューから学びました。

佐藤さん、新垣さん、お忙しい中ありがとうございました。

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